2019年の11/19~12/6まで、南米のチリとペルーを旅してきました。
今回の旅の目的は、星で有名なアタカマ砂漠、町中がアートのバルパライソ、自然が生み出した秘境マーブルカテドラル、そして空中都市マチュピチュを訪れること。
南米で人気の観光地は標高が2,000mを超える高地が多い為、高山病には用心しなければなりません。
この旅に出る1年前に3,500mを超える場所を訪れて平気だった私は、今回も『まあ、大丈夫だろう』と、気軽に考えていたところ。。。しっかり高山病になってしまいました。
幸い、軽症で済みましたが、高山病の怖いところは、誰にでも起こりうるということ、そして重症化すれば命に係わることです。
あくまでも個人的な体験になりますが、実際に発症した時の状況や、高山病の予防、重症化しない為に大切な事、等、忘備録も兼ねて書き留めてみたいと思います。
高山病とは
高山・高地では地上に比べて空気が薄いので、体に取り込む酸素量が減って低酸素状態になります。その体内の酸欠状態に体が対応できずに発症するのが高山病です。
個人差はありますが、標高が2,000mを超える地域への移動で、且つ標高差が500m以上になると高山病が起こりやすいと言われています。
ちなみに、この旅で初日に訪れた各地の標高を調べてみたところ、出発したNYのラガーデイア空港は6m、経由地のチリ・サンティアゴ空港は474m、そしてアタカマの町は2,400mでした。
標高差がとっくに500mを超えているのは明白ですね。。。。
標高だけじゃなくて、標高差も関係することに注意だニャ!
症状
高山病の初期症状は、頭痛、めまい、全身の倦怠感、眠気または不眠、手足のしびれ・むくみ、食欲不振、吐き気、等。
症状が進むと、ひどい頭痛、嘔吐で脱水症状となり、更に重症化すると呼吸困難や昏睡が現れます。
持続時間は軽症の場合、数時間~1日前後で回復することが多いようです。
高山病には年齢や性別、体力、また過去に高地に行って大丈夫だったという経験も関係ありません。その時々の気圧や体調など、ちょっとした要因が重なって発症します。
重症化を避けるためにも、自分の体の状態をよく観察して、高山病の症状が現れた場合は決して無理せず休むことが重要です。
無理や過信は禁物だニャ。。。
予防
高山病を予防するには、睡眠を十分とること、飲酒や喫煙を控えること、食べすぎないこと、ゆっくり行動すること、等が挙げられています。
また、移動手段や旅のルート、滞在日数を考えることも重要になってきます。
航空機での高地への移動は特に注意が必要です。
バスや鉄道だと徐々に高度を上げて進んで行くので、時間が経つに連れて体も高度に順応していきます。
一方、空路の場合は、体が高度に順応していないまま、酸素の薄い環境にさっと移動することになる為、高山病が起こりやすくなるのです。
もし飛行機を利用するなら、移動時間が短くて済む代わりに1日はホテルでゆっくり過ごす日を設ける等、余裕を持った日程を組む様にしましょう。
そして、まさかの時の為にも海外旅行保険には加入しておくと安心です。
米国居住で海外旅行保険を探しているなら、Travelinsurance.comでの検索がおススメです。
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私が南米旅行に行った時は、John Hancockに加入しました。病気やけがの保証以外に、携行品や交通機関のトラブルにあった時の補償が厚いのが特徴です。
実際に高山病になるとどんな感じ?<私の場合>
アタカマに到着した当日は、町を2時間ほど歩き回り、夜は宿でゆっくり過ごしていました。
翌朝、少し疲れを感じるかな?ぐらいで、特に問題は無く、朝食後外出。
ここで既に高山病が始まってるニャ。。。
町を散策している途中から、雲の上を歩いているようなフラフラした感じになったので、熱中症になっては大変と、お水を沢山飲みました。その日は露出していた手の甲から腕までがバッチリ日焼けしてしまうほど、日中はとても暑かったです。
何だかおかしい。。。。と、気付いたのは、町を一通り散策し終わった時のこと。
頭全体が重く、後頭部が締め付けられるような頭痛と全身のダルさが徐々に強まってきました。これはさすがにヤバイ状態かもと思い、とりあえず宿に向かって歩き始めます。その間にも頭痛が増していき、立っているのが辛かったです。
何とか宿に戻って持参していた薬を飲み、そのまま半日動けませんでした。
その後アタカマ砂漠からサンティアゴに戻り、チリ国内とペルーで過ごしていた間は体調もすっかり元に戻りました。
が、クスコに入った半日後にまたもや高山病再発です。。。。
クスコの標高は3,400mあるニャ
この時も町を散策している最中に頭痛が始まり、貧血状態に。途中にあったベンチで休み休みしながら、やっとの思いで宿に戻りました。高度が高いせいか、アタカマの時より頭痛が酷く、具合が悪くなる速度が速かった気がします。
更に食欲不振も加わって、クスコでは復活するまでに約1日かかりました。
高山病になってしまったら
高山病の対処で一番大切なのは重症化させないことです。
重症化させない為に、特に大事なのが下記の3つになります。
- 深呼吸
- 水分補給
- 無理は禁物
そもそも高山病は体内の酸素量が足りなくて起こるのですが、そのメカニズムを簡単に表してみたのが下の図です。
呼吸と水分、どちらが少なくても体内が酸素不足になってしまいます。更に、体が酸欠状態になっているところに無理をすれば重症化し、最悪な場合は命に係わる。。。となるのです。
逆を言えば、『深呼吸』と『水分補給』を重点的に行っていれば、高山病の発症率を抑えられ、また、万が一高山病を発症しても、症状が改善し易くなります。
重症化を防ぐためにはどうすればいいのか、3つのことをもう少し詳しく見ていきましょう。
深呼吸
呼吸をすれば酸素が肺に入ります。
しかし、高山・高地では空気中の酸素量が少ないため、意識して呼吸をしないと体内に取り込まれる酸素が足りなくなってしまいます。
高山・高地での呼吸の基本は息を鼻から吸って、口から吐くです。
呼吸法を調べてみたところ、高山病には”腹式呼吸”...と記されていることが多いのですが、あまりこだわらなくてもよい様です。
大切なポイントは口から息を吐く時に『吐き切る』こと。
『ふぅ~~~~~』っと口をすぼめて、肺の中の空気を全部吐き出すつもりで吐き切ります。息を吐き切ろうとすると最初は力んでしまいがちですが、体の力を抜いたほうが楽に長く吐きだせます。
目の前に落ちてきた紙切れを遠くへ飛ばすイメージで
息を吐くニャ。フゥ~~~~~~~~
口から息を吐き切ったら、ゆっくり鼻から息を吸いましょう。息を吐くことに意識をおいて呼吸をすれば、吸うほうは自然とついてきます。
深呼吸は、高山病の症状が出ている時はもちろん、寝る前や起床時、水分補給時、景色を眺めながら、等、何かのついでに、意識して行うようにしましょう。
深呼吸をする際のポイント
- 意識的に行う
- 息を吐き切る
- ゆっくり、深く長く
水分補給
水分は、体内に酸素を運ぶ血液の流れ(血流)をスムーズにします。
高山・高地では、汗や呼気から失われる水分量が増加する為、意識して必要水分量以上の水を飲むことが重要です。
1時間当たりの必要水分量の目安は 体重㎏ x5㎖で計算します。
例えば、体重50㎏の人であれば、1時間当たりの必要水分量は250㎖(=50 x 5)。町を2時間歩き回るなら、その間に500㎖ボトルを1本以上飲むことが目安になりますね。
水分は10~15分毎に、こまめに取ることがおススメされてるニャ
南米では基本的に水道水は飲めない為、ミネラルウォーターを買って飲むことが推奨されています。お店で購入するミネラルウォーターは2種類あるので、ラベルをチェックして見て下さい。
『SIN GUS』が普通のお水、『CON GUS』が炭酸水です。
水分補給のポイント
- 意識的に行う
- 必要水分量以上の水を飲む
- こまめに飲む
無理は禁物
時間が限られた旅先では、少しの具合の悪さなら...と、我慢や無理をしてしまいがちです。
高山病は突然重症となるのではなく、本当にちょっとした疲労感や、うっすらとした頭痛から始まります。
この『少しの具合の悪さ』を見過ごしてしまうと、気が付いた時には『具合が悪い』をはっきり自覚する状態になって、回復にも時間がかかってしまうのです(←まさに私がそうでした)。
症状を感じたら、高度を上げずに回復するまで休みましょう。
高山病の兆候を感じたらすぐに深呼吸と水分補給だニャ。
また、必要であれば薬を飲みます。
私の場合、おかしいと気が付いた時は既に具合が悪くなっていたので、ホテルに戻ってから持参した薬を服用しました。
アタカマで飲んだのは山酔いにも効くと言われている日本の万能薬『外郎(ういろう)』、頭痛の症状が重かったクスコで飲んだのは米国の解熱鎮痛剤『タイレノール』です。
どちらの薬も、1回飲んで症状が出なくなったので、その後は服用しませんでした。
ただし、酔い止めや鎮痛剤は、あくまでも頭痛等の症状を一時的に和らげるもので、高山病による酸欠状態を治す薬では無いことに注意しなければなりません。
これらの薬を使って症状を抑えながら高度を上げてしまうと、重症化する危険があると言われています。酔い止めや鎮痛剤を使って症状が回復した場合、その薬を飲まなくても症状が出なくなるまでは同じ高度に留まりましょう。
酔い止めや鎮痛剤を使う時は注意が必要ニャ
対策をしても症状が治まらない場合や、悪化した場合は下山するか、場所を移動して高度を下げましょう。
目的地までもう少しだったり、行きたいツアーだったりすれば、諦めるのは辛いことですが、無理した先に待っているのは重症化です。
私が高山病を発症した時は、重症化の恐怖よりも、せっかく旅行に来たのに動けない自分に対する苛立ちでいっぱいになりながら、ベッドの中で悶々と過ごしていました。
でも、旅から戻って、高山病のことを知れば知るほど、『あの時無理をしなくてよかった』と心から思います。
命は一度失ったら戻りません。
自分の体の状態をよく観察して、高山病の症状が現れた場合は決して無理はしないことです。
無理は禁物
- 症状が回復するまで高度を上げない
- 対策をしても症状が治まらない場合や、悪化した場合は下山や場所を移動して高度を下げる
ちなみに、高山病は英語では『Altitude Sickness』、スペイン語では『Soroche』『Mal de Altura』と言うニャ。